生きている状態そのままで生命現象を捉えることは生命科学研究において大切なことであり、そのための生体イメージング技術は近年になり急速に進んでいる。その技術を上手く活用することで、ある種の疾患については原因究明や治療法開発に役立ちつつある。この技術を支えるものに光レポーターを導入したモデルマウスがあるが、より広い分野で深く貢献するには現在でも種類が不足している。そこで本研究では特に私たちの健康問題と密接に結びつく3種類のストレスを可視化する新たな生体イメージング用モデルマウスの開発を目指している。これらのマウスはいずれも医学・薬学研究の場で高いニーズが期待され、大きく貢献するはずである。3年度にあたる本年度は昨年度から引き続いて主に「ミトコンドリアストレス」を対象にモデルマウス開発を進めてきた。イメージングに利用する分子をATFS-1からDELE1に変更することで高性能なレポーターシステムを構築することができた。少なくとも培養細胞レベルにおいてストレス特異的に光特性を変化させるレポーター機能を確認できている。現在、その光レポーター遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの作出に取り掛かっている。これに加えて糖化ストレスを生体レベルで検出できるレポーターシステムの開発にも着手してきた。ただ満足のいくレポーターシステムの開発には至っていない。おそらくレポーター開発用に選定した分子が残念ながら適していないことが原因と考えられるので、現在はレポーターに適用する分子(機能)の選定からやり直している。
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