研究課題
NOGマウスを遺伝子改変することによりよりヒト細胞の生着能を亢進させるために、C3KOマウスを基盤に実験を行い、クロドロン酸に代わるマウスマクロファージ機能を抑制する化合物としてGdCl3を見出した。GdCl3投与ではマウスの健康状態への悪影響が抑えられており、C3KOマウスではGdCl3とヒト赤血球の1週間に1度の繰り返し投与により4週間以上にわたって高キメラ状態を維持することが可能であった。また、マウス自然免疫系受容体の関与を検討した。主にCタイプレクチン受容体のスクリーニングを行いclec(X)がヒト赤血球に選択的に結合することを見出し、C3欠損NOGマウス背景(NOG-C3KO)においてさらにclec(x)遺伝子をゲノム編集により破壊したマウス(NOG-C3/clec(X) DKO)マウスを作製した。現在ヒト赤血球移植実験を行っている。初期的な解析においてはDKOマウスではクロドロン酸を投与しなくてもクロドロン酸投与マウスに匹敵するヒト赤血球の生着性が認められた。このことはマウスマクロファージによるヒト赤血球の認識がclec(x)に依存していることを示唆している。また、自然免疫に関連する分子の一つであるFceRとFcgRIIbを欠損したNOGマウス(FcgRKO)を樹立して、その性質を検討したところヒト細胞の生着性の改善が認められた。さらにこのマウスを用いたヒト化マウスではがん細胞の担癌後に抗PD-1抗体を投与すると腫瘍の拒絶が惹起された。この拒絶はNOGマウスでは誘導されず、NOG-FcgRKOマウスに特異的な反応であることから本マウス系統が免疫チェックポイント阻害剤の評価に有用であることが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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