精巣における切断型ヒストンH3の性状と、その経世代効果を明らかにすることを目的とした。精巣内生殖細胞には分化段階特異的に最低二種類の切断型H3が存在し、ひとつはN末端テイル Ala21-Thr22で切断をうける事(csH3)、切断酵素はカテプシンLである事、csH3は精母細胞XY bodyに集積する事を見出した。この集積はDNA損傷応答下流で起こっていた。csH3を持たない精子の作製を試みたが、分化不全を起こし精子が得られなかった。しかしながら本研究によって、精子形成における切断型ヒストンの存在と発生時期、細胞内局在、切断酵素、切断の上流にあるシグナル経路に関する知見を得ることができた。
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