研究課題/領域番号 |
18H02388
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
島村 達郎 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (90391979)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 受容体 |
研究実績の概要 |
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、Gタンパク質もしくはβアレスチンを介す2つの情報伝達経路を持つ。近年、バイアス型アゴニストにより一方の経路だけが活性化されるバイアス型シグナル機構がGPCRの機能上も創薬上も注目されている。本研究では、受容体の不活性型構造に加え、バランス型アゴニスト、バイアス型アゴニストとの複合体構造の決定を目指す。そして、各種リガンドの結合様式や構造の比較を行い、GPCRの各種シグナル伝達機構を分子レベルで解明するために役立つ情報を取得することが目的である。 GPCRは、非常に不安定な膜タンパク質であるため、結晶構造解析を成功させるにはGPCRを安定化させることが必須である。我々は、構造が柔軟なGPCRの細胞内ループを水溶性タンパク質へ置換したり、構造認識抗体を作製し、その抗体を結合させてGPCRを安定化し、結晶化に成功してきた。そこで上記の目的を達成するため、本年度は、細胞内ループを安定な構造を持つ水溶性タンパク質に置換したコンストラクトで、良好な単分散性を示すサンプルの取得を目指した。置換する水溶性タンパク質の種類や、置換部位、また、N末端、C末端の切断部位などを検討した結果、CPMアッセイによる評価で熱安定性が向上したコンストラクトを取得できた。また、熱安定性を向上させる抗体の取得にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンストラクトの改良や抗体により、予定通り、サンプルの熱安定性を向上できたため。
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今後の研究の推進方策 |
GPCRは、非常に不安定な膜タンパク質であるため、結晶構造解析を成功させるにはGPCRを安定化させることが必須である。我々は、構造が柔軟なGPCRの細胞内ループを水溶性タンパク質へ置換する方法や、構造認識抗体を作製し、その抗体を結合させてGPCRを安定化する方法を駆使し、GPCRの結晶化に成功してきた。これまでに、対象とするGPCRについて、新たな挿入タンパク質を開発し、それを挿入させることで熱安定性が増加したコンストラクトの作製に成功した。また、熱安定性を増加させる構造認識抗体も取得した。単分散性が良好であることも確認できた。今後は、これらの試料を利用して、幾つかのリガンドとの複合体を作製し、その熱安定性を評価する。そして成績の良いものから結晶化を行い、その複合体の構造を決定する。
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