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2019 年度 実績報告書

生体金属イオンの輸送システムで機能する膜タンパク質の構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 18H02396
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

杉本 宏  国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 専任研究員 (90344043)

研究分担者 澤井 仁美  兵庫県立大学, 生命理学研究科, 助教 (50584851)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードX線結晶構造解析
研究実績の概要

ヒトでは食物からの鉄イオンの吸収は小腸で行われるが、食物中の鉄はおもに3価イオンの状態で存在するので、何らかの形で2価に還元されなければ腸管の細胞に吸収されないことがわかっている。鉄イオンはまず、腸管の上皮細胞膜内にいるDuodenal Cytochrome b (Dcytb)というヘム酵素によってFe(III)からFe(II)に還元される。Fe(II)になることで、膜内の二価金属輸送タンパク質であるDMT-1を介して腸管上皮細胞内に取り込まれている。本研究課題ではこのような鉄イオンの酸化還元の制御や輸送ステップに介在するタンパク質の分子構造の決定を目指している。前年度はヒトDcytbの基質フリー型と、還元に必要な電子供与体であるアスコルビン酸とZn(II)イオンとの複合体の結晶構造についての報告を行ったが、本来の基質である鉄イオン結合型の構造が得られていない。そこで、LCP法による結晶試料の調整方法の新たな条件や、結晶への鉄イオン含有溶液の浸潤による複合体結晶作成を進めたが、現在まで良好な条件を確定できていない。DMT-1のタンパク質試料の調製と腸管上皮細胞のモデル系を用いた鉄輸送アッセイシステムの構築については初年度から引き続き分担者が中心となって行った。一方、ヒトに対する病原性バクテリアがヘムを鉄源として取り込むために発現しているヘム輸送膜蛋白質については電子顕微鏡での構造解析を開始しており、試料の調整を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Dcytbについては大腸菌を用いた組み換えタンパク質の発現・精製方法とLCP法による結晶化方法を確立できたと言える。腸管上皮細胞モデルを用いた鉄輸送アッセイシステムの構築が順調に進んでいる。構造解析の対象のひとつとしている輸送体の試料については、蛍光タンパク質のタグを付けて酵母で発現させたが、フラグメント化している可能性がある。

今後の研究の推進方策

腸管上皮細胞モデルを用いた鉄輸送活性の測定により鉄還元酵素と鉄イオンのトランスポーターが連携した鉄イオン輸送の分子メカニズムを解析する必要があり、引き続き実験を進める計画である。鉄イオン輸送体の試料調製に関しての検討事項としては、スプライシング位置の異なるアイソフォームについても遺伝子にタグを付けて酵母で発現させ、発現条件や界面活性化選択の際の最適化のためのスクリーニングを行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Hemozoin produced by mammals confers heme tolerance2019

    • 著者名/発表者名
      Pek, R. H., Yuan, X., Rietzschel, N., Zhang, J., Jackson, L., Nishibori, E., Ribeiro, A., Simmons, W., Jagadeesh, J., Sugimoto, H., Alam, M. Z., Garrett, L., Haldar, M., Ralle, M., Phillips, J. D., Bodine, D. M., Hamza, I.
    • 雑誌名

      eLIFE

      巻: 8 ページ: e49503

    • DOI

      10.7554/eLife.49503

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Chemo-mechanical coupling in the transport cycle of a heme ABC transporter2019

    • 著者名/発表者名
      Tamura, K., Sugimoto, H., Shiro, Y., Sugita, Y.
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. B

      巻: 123 ページ: 7270-7281

    • DOI

      10.1021/acs.jpcb.9b04356

    • 査読あり
  • [学会発表] Structural basis of iron reduction by human duodenal cytochrome b (Dcytb) involved in intestinal iron absorption2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Sugimoto, Menega Ganasen, Hiromi Togashi, Hanae Takeda, Yoshitsugu Shiro, A Grant Mauk, Hitomi Sawai
    • 学会等名
      19th International Conference on Biological Inorganic Chemistry
    • 国際学会
  • [学会発表] Structural basis of ascorbate-dependent iron reduction by human Dcytb involved in intestinal iron absorption2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Sugimoto, Menega Ganasen, Hiromi Togashi, Hanae Takeda, Yoshitsugu Shiro, A Grant Mauk, Hitomi Sawai
    • 学会等名
      32nd European Crystallographic Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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