研究課題
睡眠・覚醒や代謝など、多様な生理現象は体内に存在する概日時計に支配されて一日周期のリズムを示す。申請者はケミカルバイオロジーを応用し、概日時計の機能を調節する新規化合物を発見して鍵となる制御機構を明らかにしてきた。そのひとつである化合物KL001は、概日時計の発振に中心的な役割を果たす時計タンパク質CRY1とCRY2の両方を標的とする。これに対し、全く異なる化学構造を持つ新たな周期延長化合物A、BおよびCを表現型スクリーニングから見出し、AとBはCRY1選択的に、CはCRY2選択的に作用することを発見した。CRY1とCRY2の機能的な差異の解析は、概日時計がどのように正確に発振するのか、いかに生理機能を調節するのか、という根本的な疑問に対するよいモデル系となる。そこで本研究は化合物A、BおよびCを用い、CRY1とCRY2の違いを生み出すメカニズムに迫る。本年度は、CRY1と化合物Bとの複合体のX線結晶構造を、既に報告されているCRY2とユビキチンリガーゼであるFBXL3との複合体のX線結晶構造と比較し、化合物BがFBXL3と競合的にCRY1に相互作用する可能性を見出した。FBXL3をノックダウンしたところ、化合物Bが概日リズムに与える効果が消失したことから、化合物BはCRY1に結合してFBXL3による分解を抑制することで概日リズムを制御すると考えられた。その上、表現型スクリーニングから見出した新たな周期延長化合物TH303とその類似化合物TH129がともにCRY1に選択的に作用することを見出し、CRY1との複合体のX線結晶構造を決定してユニークな相互作用様式を明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 7件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Organic & Biomolecular Chemistry
巻: 19 ページ: 2312~2321
10.1039/d1ob00014d
European Journal of Medicinal Chemistry
巻: 214 ページ: 113217~113217
10.1016/j.ejmech.2021.113217
Journal of the American Chemical Society
巻: 143 ページ: 2078~2087
10.1021/jacs.0c12280
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 531 ページ: 409~415
10.1016/j.bbrc.2020.07.112
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Cell Research
巻: 1867 ページ: 118807~118807
10.1016/j.bbamcr.2020.118807
Chem
巻: 6 ページ: 2186~2198
10.1016/j.chempr.2020.08.011
Cell Chemical Biology
巻: 27 ページ: 1192~1198
10.1016/j.chembiol.2020.05.008
Nature Chemical Biology
巻: 16 ページ: 676~685
10.1038/s41589-020-0505-1
Journal of Molecular Biology
巻: 432 ページ: 3498~3514
10.1016/j.jmb.2020.01.003
化学
巻: 75 ページ: 66~67
http://www.itbm.nagoya-u.ac.jp/ja/kay-hirota_group/