本研究課題は、がん細胞が免疫系の監視・攻撃から逃れる仕組み(免疫回避)におけるDOCK1及び関連分子の機能的重要性を調べた。DOCK1はRac活性化を介してインターフェロン誘導性遺伝子の発現及び転写因子STAT3の活性調節に関与し、腫瘍部への免疫細胞浸潤を制御することが判った。一方、腫瘍によって産生され、免疫細胞の遊走と活性化を制御するDOCK2の内因性阻害因子として働く脂質代謝産物を同定した。以上よりDOCK1及び関連分子の腫瘍-免疫相互作用における重要性が明らかになった。本成果は腫瘍免疫をターゲットにした新たな治療戦略の開発につながる可能性がある。
|