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2020 年度 実績報告書

新規超解像法を用いて心筋ミオシン集合体内の個々の分子振動運動をとらえる

研究課題

研究課題/領域番号 18H02408
研究機関東京大学

研究代表者

茅 元司  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00422098)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード心筋ミオシン
研究実績の概要

昨年度得られた心筋ミオシン1分子実験のデータを元に,シミュレーションモデルを構築した.以前に開発した骨格筋ミオシンのモデル(Kaya et al. 2017 Nat Commun)をベースに,リーバースストローク(力発生時の構造変化であるパワーストロークの逆反応)を頻繁に引き起こす特性やパワーストロークせずに一旦アクチンから解離する経路を加えることで,本研究にて実施した心筋ミオシンフィラメントの力計測から得られた特性を再現することに成功した.この結果から,1分子実験で観測された心筋ミオシンの特徴であるリバースストロークは,心筋ミオシン集団の自律機能に大きく関わっている可能性が見えてきた.
さらにこのリバースストロークが心臓サルコメア内における収縮に与える影響を検証するため,サルコメア構造を加味した簡易モデルを構築した.サルコメア内ではアクチン1本に心筋ミオシン約75分子が相互作用するので,75分子がアクチンと相互作用するシミュレーションを行った.Z帯とアクチンの結合は,50 pN/nmと極めて硬いバネを結合させてモデル化し,カルシウム濃度の周期的な変化はミオシンの結合速度を周期的に変えることで表現した.このモデル結果から,リバースストロークを引き起こすことで,より多くのミオシンが結合して高い一定の力を出力し,収縮期の血圧維持に貢献していること,また収縮期の後半では多くのミオシンが連鎖的にリバースストロークから解離する現象を引き起こすことで,迅速に血圧の低下を実現している可能性が見えてきた.すなわち,心筋ミオシンのリバースストロークは,心臓から血液を送り出す左心室において,収縮期の安定した血圧の維持,また収縮期後半の迅速な血圧低下に極めて重要な役割を担う分子特性であることが示唆された.こうした一連の実験とシミュレーション結果をまとめた論文は,先月受理され近日掲載予定である.

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)

  • [学会発表] Molecular properties of cardiac myosin,leading to an understanding of heart function2021

    • 著者名/発表者名
      Motoshi Kaya
    • 学会等名
      第85回日本循環器学会学術集会,Symposium: Cardiomyocyte Function
    • 招待講演
  • [学会発表] 心筋および骨格筋ミオシンの個性とその機能を探る2020

    • 著者名/発表者名
      茅 元司
    • 学会等名
      第58回日本生物物理学会年会、共催シンポジウム:新学術領域研究「光圧によるナノ物質操作と秩序の創生」
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨格筋ミオシンの分子特性と骨格筋における機能発現2020

    • 著者名/発表者名
      茅 元司
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会,フォーラム:骨格筋細胞研究がリードする新しい健康かがくの分子生物学新基礎
    • 招待講演
  • [学会発表] Molecular properties of single cardiac myosin adapted for heart functions revealed by single- and multi-molecule approaches2020

    • 著者名/発表者名
      黄 勇太, 鷲尾 巧, 樋口 秀男, 茅 元司
    • 学会等名
      第58回日本生物物理学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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