研究課題
ロドプシンは、生物の三大ドメイン(真核生物・真正細菌・古細菌)に分布する光受容膜タンパク質の総称で、光エネルギー・情報変換を介し生命機能の根幹を司る:基礎的重要性。また、光遺伝学(オプトジェネティクス)を生み出した分子として、脳神経科学に利用されている:応用的重要性。このような重要性にもかかわらず、研究対象となっているロドプシンはわずかであり、大部分は手つかずのままである。そこで本研究は「ロドプシンの多様性の探究と可能性の追求」を目的とした。すなわち未解析ロドプシンの発現・精製(1. 探索)と精密解析(2. 解析)で多様性を探求し、それらの機能・特性を利用した新奇オプトジェネティクス(3. 操作)を実現することで、応用の可能性を追求することを目的とした。本年度は、昨年度に引き続き以下の3項目に取り組んだ。『1. 探索』:公開・未公開遺伝子情報(連携研究者から提供)から、推定ロドプシン遺伝子情報を得た後、それらの分子系統樹から数種類の新奇ロドプシン候補を選抜した。これらロドプシンを、組み換え生物(大腸菌,酵母,動物細胞など)に発現させ、500種類程度の新奇ロドプシンの発現・精製系を構築した。『2. 解析』:発現・精製系を構築したロドプシンの分子機能を様々な手法を用いて徹底的に調べた。加えて、様々な時空間領域「フェムト秒ーペタ秒・Åーミリメートル」で、新奇ロドプシンの分光特性を徹底的に調べた。具体的には、色制御,超高速分光,赤外・ラマン分光,結晶構造解析,NMR,理論計算を上記研究協力者の助力を得ながら行った。『3. 操作』:解析が終了したロドプシンについて、その新奇機能や特性を生かした新しい光操作を実現した。具体的には、プロトン輸送型ロドプシンを用いたアポトーシスの光誘導・抑制、膜電位センサー開発、アニオンチャネル型ロドプシンによる超高感度・長時間神経抑制などに成功した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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