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2019 年度 実績報告書

遺伝暗号の合成生物学的展開を目的とした翻訳分子の改変

研究課題

研究課題/領域番号 18H02416
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

坂本 健作  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (50240685)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード遺伝暗号 / 非天然型アミノ酸 / tRNA / アミノアシルtRNA合成酵素 / 古細菌
研究実績の概要

共進化による新規tRNA・aaRSペアの創出に取り組んだ。最初に、アンチコドンを改変してUAGコドンの読取りを可能にした古細菌チロシンtRNAの一連の立体構造バリアントを作製した。これらのバリアントは昨年度見出したYtRNA構造を共通構造として持っていて、翻訳活性は同時に古細菌チロシルtRNA合成酵素(Mj-TyrRS)を発現させ、UAGコドンの翻訳によるレポーター遺伝子の発現を指標とすることで解析した。期待された通り、構造のバリエーションに対応した活性の違いが認められた。YtRNAの立体構造は古細菌チロシンtRNAとは異なっているので、活性が認められたバリアントはすべて新しいチロシンtRNA分子種(Tyr-YtRNA)である。これらの中で、他のアミノアシルtRNA合成酵素からは認識されないバリアントの抽出を試みた。得られたチロシンtRNAのアイデンティティー決定因子(アクセプターステム末端の塩基対)をグルタミンtRNAの決定因子と置換した。この結果、多くのバリアントは大腸菌グルタミニルtRNA合成酵素(Ec-GlnRS)から認識されるようになり、UAG翻訳活性は失わない。まれにEc-GlnRSから認識されずUAG翻訳活性を失うバリアントがあることを期待し、30種以上のバリアントを解析して目的のバリアントYtRNA(Gln-)を見出すことができた。そこで、このtRNAを認識するGlnRS変異体を単離する作業を開始した。YtRNA(Gln-)は翻訳活性を持っているTyr-YtRNAのデリバティブであり、アミノアシル化後の翻訳ステップにおいては活性を有する。実際に、YtRNA(Gln-)を認識するGlnRS変異が得られ始めている。併せてグルタミン誘導体であるメチルグルタミンを認識するGlnRS変異体の単離を進めており、UAGをメチルグルタミンに翻訳する系の開発を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Tyr-YtRNAを元にしてYtRNA(Gln-)を得ることができ、このtRNAを認識するGlnRS変異体が鰓得られ始めている。現在、活性がさらに向上した変異体の取得に努めているが、正規構造とは異なるtRNA特異的に認識することができるアミノアシルtRNA合成酵素を作製することが可能であること示された。

今後の研究の推進方策

予定通りGlnRS変異体の取得と活性改善を進める。併せてグルタミン誘導体であるメチルグルタミンを認識するGlnRS変異体を単離して、これら2つの変異体中のアミノ酸変異を一つの変異体にまとめ、YtRNA(Gln-)と組み合わせることで、UAGをメチルグルタミンに翻訳する系の開発を行う。このことで、新規なtRNA・aaRSが創出できたか、研究のコンセプトが正しいかを検証する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Structural basis for genetic-code expansion with bulky lysine derivatives by an engineered pyrrolysyl-tRNA synthetase2019

    • 著者名/発表者名
      Tatsuo Yanagisawa, Mitsuo Kuratani, Eiko Seki, Nobumasa Hino, Kensaku Sakamoto, Shigeyuki Yokoyama
    • 雑誌名

      Cell Chemical Biology

      巻: 26 ページ: 936-949

    • DOI

      doi.org/10.1016/j.chembiol.2019.03.00

    • 査読あり
  • [学会発表] 10.非天然型アミノ酸含有抗体発現生産技術と生体直交反応性キレーター修飾の組み合わせによる高均一な64Cu標識トラスツズマブFabの作製2019

    • 著者名/発表者名
      仁欽、藁科翔太、毛利浩太、高橋麻衣子、金山洋介、高橋美穂子、林明子、林中恵美、和田康弘、渡辺恭良、坂本健作、向井英史
    • 学会等名
      日本分子イメージング学会第14回学術総会・学術集会
  • [学会発表] Xeno-protein engineeringの抗体開発への応用2019

    • 著者名/発表者名
      坂本健作、林明子、山口純、柳沢達男、田村浩子、長門石曉、津本浩平、藏地理代、金山洋介、渡辺恭良
    • 学会等名
      第14回無細胞生命科学研究会
  • [学会発表] 人工遺伝暗号技術の抗体医薬への応用2019

    • 著者名/発表者名
      坂本健作
    • 学会等名
      理研シンポジウム「理研エンジニアリングネットワーク/精密武装抗体の合成と機能評価」
    • 招待講演
  • [学会発表] 改変型抗体の作製のための技術基盤2019

    • 著者名/発表者名
      坂本健作
    • 学会等名
      兵庫県立こども病院-理研BDR第4回ジョイントシンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] ゼノバイオロジーを目指すタンパク質工学2019

    • 著者名/発表者名
      坂本健作
    • 学会等名
      日本薬学会第140年会シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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