DNA上を運動する蛋白質ベースの新しい分子モーターとして、天然の生物分子モーターであるダイニンの微小管結合部位を、ヒト転写因子のDNA結合部位に取り替えたキメラ分子を開発した。この新規分子モーターのレールとなるフィラメント状の構造体として、DNAタイルの重合に依って作られる中空状のDNA構造体(DNAナノチューブ)を作成し、この表面にDNA結合部位の認識配列を組み込んだ。その結果、DNAナノチューブは、速いタイプのモーターでは平均 220 nm/s でスムースな滑り運動を起こした。さらに一分子でプロセッシブにDNAナノチューブ上を動くことができる二量体分子の作製にも成功した。
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