研究課題/領域番号 |
18H02420
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
花田 耕介 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50462718)
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研究分担者 |
LEE JAEMAN 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50404083)
望田 啓子 (桑田啓子) 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任助教 (70624352)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ホルモン様ペプチド / シロイヌナズナ |
研究実績の概要 |
AT32ペプチドを過剰発現させると、ブラシノステロイド欠損変異体とよく似た特徴的な矮性表現型を示すことから、AT32ペプチドはブラシノステロイドのシグナルを阻害することが示唆されている。AT32ペプチドが機能する組織や生育段階を明らかにするため、AT32プロモーター下でGUS遺伝子を発現する形質転換体を作出し、GUS解析を行った。その結果、茎頂・根端メリステムと種子といったブラシノステロイドが機能するとされる領域の周辺でGUS発現が見られた。これは、ブラシノステロイドが機能する領域の周辺でAT32ペプチドも発現し、ブラシノステロイドの効果をコントロールしている可能性を示唆している。 また、AT32ペプチドの発現抑制体を用いて、表現型の観察を行う。AT32ペプチドを欠損した植物体では、ブラシノステロイドのシグナルが遮断されず、異常な表現型を示すことが予想される。ブラシノステロイドはシロイヌナズナの暗所での初期成長時に胚軸を伸長させる機能がある。AT32欠損変異体(AT32KO)の表現型を、暗所での初期成長時に観察した。その結果、AT32欠損変異体の胚軸長はコントロールと比較して有意に長くなっており、AT32ペプチドがブラシノステロイドのシグナルを遮断するというこれまでの結果を強く支持する結果が得られた。 これまでの研究で、AT32ペプチドはブラシノステロイド受容体であるBRI1を含む複数のLRR受容体Kinase(細胞外Leucine-rich repeatドメインと細胞質Kinaseドメインをもつ膜貫通型受容体)の複合体に結合することが示唆されている。そこで、AT32ペプチドの受容体を明らかにするため、共受容体候補の8つのLRR受容体Kinaseをシロイヌナズナ、タバコBY-2培養細胞、カイコ培養細胞で発現させ、AT32ペプチドとの結合を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、発現場所も特定でき、遺伝子欠損体の表現形質も想定通りであったため、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
AT32共受容体タンパク質の探索では、FLAGタグを融合した受容体タンパクを発現するベクターを構築し、カイコに感染するバキュロウイルスに導入した。この組換えバキュロウイルスをカイコ培養に感染させることで、カイコ培養細胞中でAT32受容体候補タンパク質を発現させた。このカイコ培養細胞から膜画分を単離し、AT32ペプチドと混合したのち、抗FLAGタグを用いてPull downを行なった。Pull downサンプルの質量分析を行い、AT32の有無を確認したところ、いずれの共受容体候補でもAT32の結合が確認できなかった。現在、これらの共受容体候補を発現する形質転換シロイヌナズナを作出しており、今後はシロイヌナズナで発現させたタンパク質を用いてAT32ペプチドとの結合実験を行う。
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