研究実績の概要 |
胸腺細胞の正負の選択はTCRシグナル伝達のシグナル強度により決定されるモデルが検討されてきたことを踏まえ、胸腺細胞を用いてTCR シグナル伝達の強度の情報に加え相互情報量を算出する実験系を構築し、TCRシグナル伝達分子の特徴を相互情報量を基に解析を行ってきている。マウス胸腺細胞に抗CD3e抗体刺激を加えTCRシグナル伝達を活性化し、相互情報量をそれぞれの情報伝達経路に対し算出したところ、翻訳関連分子の制御がTCRシグナル伝達では特徴的な動態を示すことがわかっている。また、抗CD3e抗体刺激が各シグナル伝達分子へと伝達される通信路の違いをマッピングして可視化する手法を開発して適用した結果、翻訳制御関連分子へのシグナル伝達が特徴的であることが培養細胞においても示唆された。 したがって、より詳細に翻訳関連分子および翻訳制御を解析するためにpmTOR, peIF4E, pS6, pS6Kの量およびタンパク質のターンオーバーを1細胞レベルで解析する実験系を構築を行った。マウスより胸腺細胞およびマウス胸腺細胞由来の培養細胞であるDPK細胞を用いて、抗CD3e抗体などにより TCRシグナル伝達を活性化させ、その後、時系列(10時点:0, 0.5, 1, 2.5, 5, 10, 20, 30, 40, 60 分)にサンプルを回収し、時系列データを取得した。また、翻訳制御に及ぼす影響を調べるため、Puromycinラベルによるタンパク質のターンオーバーを定量する実験系を構築した。
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