ミニマムゲノム細菌を用いた遺伝子機能の網羅的同定による生命の基幹システムの理解

2023 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 18H02433
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分43060:システムゲノム科学関連
• 研究機関: 国立研究開発法人産業技術総合研究所
• 研究代表者: 柿澤 茂行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10588669)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 細菌ゲノム / 必須遺伝子 / マイコプラズマ

研究成果の概要

本研究では、ミニマムゲノム細菌JCVI-syn3Bを用いて、誘導プロモーター系などをテストするとともに、未知遺伝子の機能を網羅的に解明する系を開発した。特に、遺伝子の特異的ノックダウンが可能なCRISPR interference（CRISPRi）システムの導入に成功し、テトラサイクリン誘導プロモーター系が最も効果的であることを確認した。このシステムを多数の未知遺伝子に適用し、遺伝子機能解析を行う基盤を確立した。これにより、ミニマムゲノム細菌の基本的な生命機能の全容解明に向けた重要な知見を得た。

自由記述の分野

細菌ゲノム学

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究の意義は、最小の生命システムを持つミニマムゲノム細菌において、未知遺伝子の機能を網羅的に解析する基盤を構築した点と、新たなバイオテクノロジーの発展に寄与する可能性がある点にある。特に誘導プロモーター系とCRISPRi技術を用いることで、遺伝子発現の精密な制御を可能にした。これにより生命の基本システムを解析するための重要なツールを提供し、生命科学の基礎研究に貢献することが期待される。加えて、ミニマムゲノム細菌を用いた研究により、合成生物学において新たな応用の道を開く可能性がある。例えば、最小限の遺伝情報で機能する細胞を設計することで、効率的な生産システム等の開発につながることが期待される。