研究課題/領域番号 |
18H02449
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今吉 格 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60543296)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経幹細胞 / 神経新生 / 転写因子 / 休眠 / 光遺伝学 |
研究実績の概要 |
我々は、転写制御因子や細胞シグナル経路の、ダイナミックな発現や活性化状態の変化に着目し、それらの挙動をリアルタイムイメージング技術によって可視化するとともに、遺伝子発現の光操作技術を用いて人工的に摂動を加えること可能な実験系を構築してきた。このような技術を利用して、培養神経幹細胞だけでなく、発生期胎児脳や、成体脳に存在する内在性の神経幹細胞のイメージングや光操作を行うことで、神経幹細胞を制御する転写因子ネットワークの全容解明を目指す。哺乳類の脳神経系は、ニューロンやグリア細胞が複雑かつ精緻なネットワーク構造を形成し、高次脳機能を制御している。そのためには、発生・発達期において、神経幹細胞から、ニューロンやグリア細胞が秩序立って産生される必要がある。また、神経幹細胞は成体脳にも存在し、ニューロンを新生することで、様々な脳機能の維持や最適化に関与していることが明らかになっている。このように神経幹細胞は、発生・発達期だけでなく、成体脳においても、細胞分裂・細胞分化・休眠状態が厳密に制御されている必要があると考えられる。本年度は、脳内の神経幹細胞の挙動や遺伝子発現動態を、ライブイメージング技術を用いて可視化し、転写制御因子や細胞シグナル経路の、ダイナミックな発現や活性化状態の変化が、どのような機能的意義を担っているかについて、新たな知見を得ることに成功し、論文発表を行った。今後、成体脳神経幹細胞の制御が破綻した際に、脳機能の成熟や維持について、どのような影響がみられるのかについて解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
脳内の神経幹細胞の挙動や遺伝子発現動態を、ライブイメージング技術を用いて可視化し、Ascl1やHes1などの転写制御因子のダイナミックな発現や活性化状態の変化が、どのような機能的意義を担っているかについて、新たな知見を得ることに成功し、論文発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究において、bHLH型転写因子の振動発現の重要性に着目し、神経幹細胞が多分化能と自己複製能の両立をどのように実現するのかについての本質的な回答を与えることができたと考えている。しかしながら、我々が提唱しているbHLH型転写因子の振動発現による幹細胞の制御機構が、発生中の脳組織において実際にどのように機能しているかについては不明な点が多い。そのために、脳スライス標本や脳オルガノイドなどの三次元立体組織中の神経幹細胞のイメージング技術や光操作技術の開発を行う。また、これまでは神経幹細胞の維持とニューロン分化運命決定に関与するbHLH型転写因子に特に着目して研究を行ってきたが、アストロサイトの分化に重要な転写因子、オリゴデンドロサイトの分化に重要な転写因子などについても、その発現ダイナミクスの定量と意義の検証実験を行い、神経幹細胞に存在する転写因子の振動ネットワークの全容解明を目指す。
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