研究課題/領域番号 |
18H02451
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
別所 康全 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70261253)
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研究分担者 |
作村 諭一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (50324968)
中畑 泰和 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (50390810)
松井 貴輝 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (60403333)
笹井 紀明 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80391960)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 器官サイズ / 細胞の社会性 / 側線器官 / 神経 / 発生 |
研究実績の概要 |
多細胞生物の発生過程において、胚は環境変化にさらされ、かつ生物の素過程はゆらぎに満ちている。しかし生物は生物種固有のサイズに発生し、その中の臓器等も均整のとれたサイズに形成されるので、サイズがロバストに決められるしくみが存在すると理解できる。細胞はゲノム情報に基づいてふるまい、細胞が集まって自律的に組織・器官をつくるので、細胞の社会性がサイズ決定のキーであると考えられる。本研究では、細胞の社会的ふるまいを新たな切り口に、脊椎動物の体節形成とゼブラフィッシュの側線器官形成をモデルとして、実験生物学と数理生物学を駆使することで、組織・器官のサイズがロバストに決められるロジックを明らかにすることを目的として研究を進めた。 ゼブラフィッシュ側線器官について、アセチルコリン受容体の阻害剤を用いて側線器官原基に投射する遠心性神経からの入力を遮断すると、ひとつひとつの側線器官のサイズが小さくなり、側線器官の数が増えることを明らかにした。また、側線器官の感覚細胞である有毛細胞は障害を受けて死滅した場合に障がい前と同じ数の有毛細胞が再生することが知られている。遠心性神経の入力を遮断すると、再生する有毛細胞の数が少なくなったので、遠心性神経の入力が側線器官の有毛細胞の数を決定していることが示唆された。 また、体節形成について、体節のサイズの定量を試みて、定量的なデータを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体節の計測は、個体間のばらつきが大きいことなどからやや進展が遅れているが、側線器官の有毛細胞の再生について、支配している遠心性神経の役割を示唆する興味深いデータが得られたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、有毛細胞の再生について、さらに遠心性神経の入力の役割に焦点を絞って検討を進めていく。これまではアセチルコリン受容体阻害剤を使った薬理学的な解析をおこなってきたが、遠心性神経を物理的に切断することも試みる。
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