マウス胚の神経管の背側領域で局所的に発現するWnt1とWnt3aの時空間的挙動を詳細に解析した結果、これらWntリガンドが発現細胞の頂端側に局在化することを見出した。これらのWntを発現する細胞は発生の進行に伴い大きく形態を変化させ、背腹軸方向に伸長するが、このような形態変化にはこれらWntの分泌が必要である。解析の結果、この形態変化にはWntシグナル伝達経路の一つであるWnt/b-catenin経路の活性化が重要であることが明らかになるとともに、Wntの頂端側への局在化が、背側領域でのWntシグナル活性を維持し、その結果として細胞骨格因子の活性化と細胞の形態変化が引き起こすと考えられた。
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