葉緑体がもつ染色体「核様体」のダイナミズムに挑む

2021 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 18H02460
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分44030:植物分子および生理科学関連
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 西村 芳樹 京都大学, 理学研究科, 助教 (70444099)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: 葉緑体DNA / 核様体

研究成果の概要

DNAの折りたたみは、DNAを持つすべての生命体にとって普遍的な問題である。葉緑体やミトコンドリアは、それぞれ独自の多コピーゲノムを維持しているが、具体的なDNAの折りたたみ機構はわからないことが多かった。本研究において我々は、緑藻クラミドモナスのプロテオミック解析をとおし、葉緑体核様体において、ミトコンドリアの主要な核様体タンパク質であるTFAM/Sbf2pに構造的に類似したタンパク質「HBD1」の同定に成功した。DNAオリガミ／原子間力顕微鏡による解析の結果、HBD1は2つのHMG-boxドメインでUターンやクロスストランドブリッジを形成してDNAを折りたたむことが示唆された。

自由記述の分野

植物分子遺伝学

研究成果の学術的意義や社会的意義

葉緑体において、2つのDNA結合部位（HMG-boxドメイン）を持つタンパク質(HBD1)が、DNAクリップとしてDNAを折り曲げ、架橋することでDNAを折りたたみ、核様体を構築していることが示された。ここで得られた知見は葉緑体工学における葉緑体ゲノムの安定性や遺伝子発現制御に関する新技術開発、さらにヒトを含む動物・植物におけるミトコンドリア核様体の機能解析への応用、医学・農学をふくむ様々な分野への展開が期待される。