研究課題
陸上植物のミトコンドリアと葉緑体ではRNA上の特定のC(シチジン)がU(ウリジン)に変換されるRNA編集が存在する。これまでPPR、MORFタンパク質などRNA編集機構に関与する因子が多数単離されてきた。しかし複数の因子が関与するRNA編集反応の全体像は明らかになっていなかった。特にCをUに変換する酵素の正体は長年研究されながら謎のままであった。本研究では、各RNA編集因子の機能をより詳しく解析し、活性をもつRNA編集タンパク質複合体の再構築を目的とした。本年度の成果は以下の通りである。1)単離したPPRタンパク質と標的RNAを試験管内で反応させることによりIn vitroでRNA編集を再現することに成功した。これによりPPRタンパク質のC末端に存在するDYWドメインがRNA編集の酵素であることが示唆された。2)大腸菌系、in vitro系を用いることにより、DYWドメイン内で活性に影響を与えるアミノ酸残基を網羅的に解析した。またRNA編集反応が核酸濃度に依存することを示した。3)葉緑体RNA編集遺伝子OTP86のDYWドメインの活性型、非活性型の構造を世界ではじめて決定し、DYWドメインがシチジンデアミナーゼ様構造をもつことを示した。また内部のゲーティングドメインがスイッチのように動くことにより酵素活性が制御されることを示した。この発見はRNA編集応がオルガネラ内の核酸濃度により制御されるという新たな次元の遺伝子発現機構を示唆するものである。この結果はNature Catalysis誌に発表した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-06-23-0