研究課題
植物の根・葉・花などの器官は、細胞間または組織・器官間におけるオーキシンの分配制御によって、局所的にオーキシンが蓄積する部位に形成される。本研究は、植物器官形成の開始位置を決定する局所的なオーキシン蓄積の確立機構を解明することを大きな目的として、側根形成の開始頻度が顕著に低下するシロイヌナズナfewer roots(fwr)変異体の原因遺伝子として同定した低分子量ADP-ribosylation factor (Arf) GTPaseのグアニンヌクレオチド交換因子(Arf GEF)GNOMに注目し、申請者らが独自に単離したfwr変異体と、fwrの側根形成能を回復させるfspサプレッサー変異体シリーズを用いた生理学的・発生学的・生化学的解析により、側根形成の開始におけるGNOMを介した局所的オーキシン蓄積の確立機構を明らかにする。2018年度の主な成果を以下に示す。1)側根形成におけるGNOMの組織特異的役割に関する解析:GNOM-GFP遺伝子の組織特異的発現によるfwr変異体の相補実験を行い、側根形成開始に必要なGNOMの発現組織を明らかにした。2)fwrの側根形成能を回復させるサプレッサー変異体fspのオーキシン関連表現型の解析:側根形成能が回復するfsp fwr二重変異体において、側根形成開始における局所的オーキシン応答の蓄積が回復するかを、オーキシン応答レポーターDR5用いて明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
2018年度は上記の1)と2)に主に力を注いだ。一方、別の研究項目として、3)側根形成におけるGNOMとFSP遺伝子産物との相互作用に関する研究についても、解析に必要な形質転換系統の作出を進めており、概ね順調に進んでいる。
GNOMとFSP遺伝子産物との相互作用にオーキシン輸送や細胞内膜交通がどのように関係するかについて明らかにする。そのために様々な形質転換系統の作出を進めており、今後、これらが作出でき次第、それらを用いた解析を行う。また、原因遺伝子が同定されていない新たなfsp変異体についても解析を進め、原因遺伝子を確定させる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
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