研究課題
4つの花器官は全て花幹細胞から作られる。花幹細胞は細胞分裂により細胞を一定数供給すると、その増殖を停止して分化を開始する。シロイヌナズナでは、AGAMOUS (AG)タンパク質がKNUCKLES (KNU)を転写して、花幹細胞の増殖を停止する。AGは発現するとH3K27me3を導入・維持するポリコーム複合体を排除し、即座にKNU遺伝子座に結合する。細胞周期の進行を経ることでH3K27me3の量が減少し、時間差を持ってKNUが発現する。先行研究でのレポーター解析より、H3K27me3が導入される遺伝子領域を増やすと、KNUの発現は遅延し、その量も減ることが示唆されていた。しかし、1)その効果は定量されていなかった。またその発現変化が、2) H3K27me3の働きに依存するのかも不明だった。本年度は、これら2つの課題に取り組んだ。1) pKNU::KNU-GUSと比べて、H3K27me3が導入されるdel領域を6つ(pKNU::KNU-GUS +6del)増やすと、GUSの発現が下がっていた。RT-PCRとMUG Assayより、pKNU::KNU-GUS +6del ではGUSの発現の有意な減少が確認できた。2) pKNU::KNU-GUS +6del における遺伝子発現量の減少がH3K27me3に依存するのかを調べるため、ChIPアッセイを行った。pKNU::KNU-GUS +6delではpKNU::KNU-GUSと比較してH3K27me3の蓄積量が増加していた。そのため、pKNU::KNU-GUS +6del における遺伝子発現の減少はH3K27me3の増加が原因であることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
予備データの再現性まで確認し、研究の基本となる重要なデータを得た。
先行研究でのレポーター解析より、H3K27me3が導入される遺伝子領域を増やすと、KNUの発現は遅延し、その量も減ることが示唆されていた。しかし、1) ポリコーム複合体・2) 細胞周期の働きに依存するのかは不明のままである。今後はこの2課題に取り組む
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巻: - ページ: -
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