研究課題
基盤研究(B)
本研究では、植物が維管束木部細胞の通水・支持機能の最適化を実現するために進化的に発達させてきた遺伝子発現制御システム「VNSレギュロン」について、その構造と動態可塑性を多層的に詳細解析した。その結果、1)一部のタンパク質の分解が木部細胞の機能最適化に重要であること、2)木部細胞の分化制御に細胞周期と細胞内環境が深く関わること、3)オオミズゴケ(コケ植物)とテーダマツ(針葉樹)においてもVNSレギュロンの基本構造が保存されていること、を明らかにした。
植物分子および生理科学
本研究が対象とする木部細胞は木質バイオマスの本体であり、本研究で得られた成果をもとに木質バイオマスの高度利用(バイオエタノール変換、高エネルギー化)に向けた木質改良につながる点で社会的な意義をもつ。また、本研究が扱う「VNSレギュロン」は植物における遺伝子発現制御システムの代表例であり、この解析で得られた知見と解析手法が他の様々な局面で起動するレギュロンの解析に転用可能である点で学術的な意義は大きい。