研究課題/領域番号 |
18H02474
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
宮川 信一 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 准教授 (30404354)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生殖器 / 発生 / ホルモン / マウス |
研究実績の概要 |
本研究は、胎生期の様々なホルモン環境に依存した遺伝子発現と、出生後の外生殖器の表現型(雄化の度合い、雌化の度合い、さらに形成不全の度合い)の相関関係を解析することで、外生殖器の性分化に寄与する遺伝要因を同定し、外生殖器形成の発生プログラムの全容を解明を目指している。正常な雌雄に加え、外生殖器性分化に最も大切な時期とされる胎生14.5日及び胎生15.5日に様々なホルモンや薬剤を投与し、胎生16.5日の外生殖器の尿道両側間葉における遺伝子発現をRNA-seq法によって調べ、マウスの外生殖器の形成に関与する遺伝子の網羅的な探索を行った。正常なオスと正常なメス、正常なオスとフルタミド(アンドロゲン受容体アンタゴニスト)を投与したオス、アンドロゲンを投与したメスと正常なメスをそれぞれ比較して、オスの処理群で共通して発現上昇した遺伝子は58個、メスの処理群で共通して発現上昇した遺伝子は78個であった。その中から数種類の遺伝子を選出し、胎生16.5日目の生殖結節における遺伝子の発現パターンをin situ hybridization法によって調べた。その結果、例えばIgfbp5は生殖結節の上皮、Cyp1b1は間質で発現しており、いずれもオスの方がメスよりも発現レベルが高いことが分かった。外生殖器形成に関与する遺伝子を特定することで、外生殖器の正常発生や性分化疾患の発生メカニズムの解明につながることが期待される。また、前年度から引き続き、発生期のホルモン環境に依存するマウス外生殖器の形態解析も行っており、今後両者の関連付けをおこなっていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれCTによる表現型解析とRNAシークエンスのデータを得ることができたため、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)胎生期に様々なホルモン環境(ホルモンや化学物質の曝露)及び遺伝的環境(遺伝子改変マウス)においたマウスの外生殖器について引き続き解析をすすめる。これまで生後30日齢の外生殖器の形態解析を行っていたが、生後60日齢の解析も併せることで、より頑強なデータを得る予定である。これまでの外観の評価、CTスキャン解析、組織学的解析に加え、走査電顕による微細構造も解析していく(2)RNAシークエンス解析で得られた遺伝子については、発現部位をin situ hybridization法で確認していく。さらにそれらがホルモン投与などでどのように変化するかを明らかにする。(3)上記1の解析で変化があった表現型(パラメーター)について、2で得られた遺伝子発現の比較から、そのパラメーター変化の原因となる遺伝子を同定する。これらの解析により、外生殖器の性的形質に寄与する遺伝要因を同定し、外生殖器形成の発生プログラムの全容を解明を目指す。
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