研究課題/領域番号 |
18H02477
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小野 大輔 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (30634224)
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研究分担者 |
徳田 功 立命館大学, 理工学部, 教授 (00261389)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 概日リズム / 睡眠 / 光イメージング / 光操作 |
研究実績の概要 |
概日時計中枢である視交叉上核からの出力経路を同定するため、昨年度までは順行性のトレーシング、光遺伝学を用いた細胞操作により、室傍核CRF神経の活性化により覚醒が誘導されることを明らかにした。本年度は、室傍核CRF神経特異的に、蛍光カルシウムプローブである、GCaMP6を発現させ、光ファイバーを挿入し、REM, NREM睡眠、覚醒の各ステージにおけるカルシウム変動を計測した。室傍核CRF神経の活動は、覚醒時に上昇し、REM, NREM睡眠時には低下する事が明らかとなった。さらに、CRF神経の活動は、覚醒の初期に上昇するが、その後の覚醒の間に徐々に活動が低下していった。この結果は、室傍核CRF神経は、覚醒を誘導するが、その維持には必要ではないことが明らかになった。 次にDREADDを用いて、室傍核CRF神経特異的に神経活動を抑制する試みを行った、CNOをマウスの活動が高くなる暗期直前に投与し、神経活動の抑制を行った。コントロールは生理食塩水の投与とした。その結果、CNOの投与により、暗期の覚醒量が減少し、NREM睡眠が上昇した。さらに、ジフテリアトキシンA断片を用い、室傍核CRF神経特異的な神経脱落を行い、自発行動量の計測を行った。その結果、室傍核CRF神経の選択的な脱落により、マウスの自発行動量の低下が認められた。これらの結果は、室傍核CRF神経が覚醒に関わることをサポートする結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
室傍核CRF神経の活性化、抑制化実験、ファイバーフォトメトリー実験などメインとなる実験データが得られている事、現在論文を投稿中であり、当初の計画以上の進展があるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
室傍核CRF神経の上流および下流の神経細胞群の同定を進めると同時に、この経路以外で、視交叉上核の概日リズム情報が出力されている領域を同定する。順行性・逆行性のトレーシング、光遺伝学、光計測などの技術を組みあわせ研究を進める。 また発光を用いたin vivo光計測ツールの開発およびレポーターマウスの作成を進め、非侵襲的に脳機能を計測可能なシステムを完成させる。
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