行動実験では、おなじ柴犬という犬種グループ内でも、解決不可能な課題に直面した際にヒトを見る行動にはばらつきが見られた。関連解析では、柴犬において解決不可能な課題に直面した際にヒトを見る行動と有意に関連するSNPを発見した。行動を引き起こしている遺伝子は特に脳で発現しているものや神経系に関連しているものだと考えられる。SNPの付近には、神経系や脳で発現している遺伝子がいくつか見られた。 有意に関連するSNP近くに存在する遺伝子のうち、神経系や脳に発現し、脳機能や精神発達に関わる遺伝子4つを候補とし、以下を実施した:・公開データベースをもとに、イヌにおける各遺伝子のexon上の多型を検索、・オオカミと古代柴の全ゲノムシークエンスデータをもとに、各遺伝子のexon上の多型を検索、・上記多型について遺伝子型決定するためのPrimer設計およびPCR条件検討。 現在は、GWASを行った柴犬のサンプルを用いて、上記候補遺伝子上の多型について遺伝子型決定し、解決不可能課題における指標との関連解析を実施中である。
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