研究課題
哺乳類が哺乳類型爬虫類の一群から起源した過程で,哺乳類型爬虫類において40個ほどの骨が構成していた頭蓋は哺乳類で28個の構成骨に減少した.これら10数個の骨は哺乳類に至る系統で完全に喪失したと考えられてきた.しかし,失われたと従来考えられてきた骨のいくつかは実は哺乳類でも保持されている可能性が出てきた.本年度はマウス,コウモリ,ブタ,シカ,スンクス,サルの胎児標本の分析を中心に進め,胎児期における頭蓋の縫合閉鎖過程を肉眼解剖学的,免疫組織化学的な検討を行った.またマイクロCTを本研究室に導入し,先述の動物群の胎児の非破壊的三次元撮影を行い,コンピュータを用いて頭蓋冠における骨,軟骨,筋肉,脳,末梢神経,各形態パーツ相互の相対的位置関係を再構築し,縫合閉鎖過程の把握を進めることができた.頭蓋骨の縫合に形成・促進に関連する遺伝子(Frfbr2, Ihh, Pthc1,Tgfr2)の発現パターンを分析するため,遺伝子のクローニング,プローブの作製を進めた.
1: 当初の計画以上に進展している
本研究課題に基づく関連論文が順調に発表できている.
来年度より,分子生物学的実験機器を導入する予定であり,これらの推進が飛躍的に進むと期待している.特に,in situ ハイブリダイゼーションを行い,骨格の前駆組織に特異的なSox9, Aggrecanの発現の確認を進めていく予定であり,縫合閉鎖過程の発生遺伝学的理解が進むと期待される.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件)
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