研究実績の概要 |
グッピーのサンプリングは、繁殖期にあたる2018年7月9日~13日にかけて、沖縄県の北部に位置する伊差川(ISA集団)、南部に位置するチブガーラと呼ばれる小川のため池(CHB集団)、南部に位置し、沖縄県病害虫防除センター脇にある側溝(BOJ集団)の計3地点(図1, 2)でおこなった。地点ごとにオスと妊娠メスをそれぞれ80~85匹ずつサンプリングした。妊娠メスは、サンプリングしてから1~2日後に酸素充填したペットボトルに約10匹ずつ入れ、東北大学へ生きたまま運んだ。妊娠メスは、産卵するまで1個体ずつ水槽に入れ、1日に一度、市販の熱帯魚用飼料を細かく粉砕したものを与えられた。産卵を終えた妊娠メスは、99.5%エタノールで固定し、また、1個体のメスから産まれた稚魚は、全て捕獲して99.5%エタノールで固定し、保存した。メスと稚魚は、親子関係が分かるように記録をおこなった。最終的に、ISA集団36個体、CHB集団35個体、BOJ集団38個体ずつのオス・メス・子どもを用いて、DNA抽出をおこなった。各個体から抽出したDNAは、1地点ごとにオス・メス・子どものゲノムを等量ずつ混ぜた。次世代シーケンサー (Illumina Novaseq6000)を用いて、ゲノム解読 (pool-seq)をおこなった。雌が選択的に選んだ雄のゲノム領域を特定するためのシミュレーションコードの開発を行った。シミュレーションでは、ランダム交配から期待される子世代のアレル頻度をシミュレーションにより繰り返し生成し、観察値がその帰無分布から大きく外れている領域を抽出できるようなシミュレーションコードをphytonにより開発した。
|