研究課題
2020年度およびそれを繰り越した2021年度は、(1)広域の森林でのナトリウム利用可能性の測定と、(2)飼育ニホンザルおよび(3)飼育ニホンジカを用いた実験を行った。(1)石川、福井、岐阜、長野、愛知、静岡、山梨県および宮崎県の26カ所の森林について、これまで集中的に調査を行った、鹿児島県屋久島と石川県白山と同様に、森林内の樹木の生葉を既存のトレイルに添って、各調査地で50本について採取した。得られた試料について、乾式灰化処理を、京都大学霊長類研究所で実施した後、総合地球環境学研究所のICP発光分光分析装置(ICP-AES)で、ナトリウム、カルシウム、鉄、カリウム、マンガン、リンの含有量を測定した。海からの距離との関係や、樹種や土壌との関係について、今後分析を行う予定である。(2)霊長類研究所で飼育している6頭のニホンザルを対象に、塩化ナトリウム水溶液を与えた場合と与えない場合について、それぞれ1週間、すべての排泄物と食べ残しを回収して計量することで、ナトリウムの収支を測定するとともに、糞の一部をアルドステロン(ナトリウムを尿から再吸収するホルモン)の測定のために採取した。(3)京都市動物園および豊橋総合動植物公園で飼育している合計5頭のニホンジカについて、排泄直後の新鮮な糞を採取し、アルドステロンの測定を行った。なお、ニホンジカには実験の途中から鉱塩を与えたが、それをなめる行動はほとんど観察されなかった。アルドステロン濃度についての詳しい分析はまだ行っていないが、野生個体よりも低い傾向があった。環境中のナトリウムが十分ではない野生下では、尿からナトリウムを常習的に再吸収していることが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)
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