研究課題
基盤研究(B)
利己的な行動操作による相利共生の維持機構を理解するために、シジミチョウとアリの相利共生系を用いて行動操作のメカニズムと共生がアリの利益(次世代生産数)に与える影響を調べた。シジミチョウの蜜にはアリの行動を操作する化学物質が含まれること、蜜は脳内ドーパミン経路やシグナル伝達に関わる遺伝子発現を低下させること、共生がアリに与える利益はアリの栄養状態に依存して変化するが、短期的な損得に関わらずアリはシジミチョウとの共生関係を維持することを見出した。
動物行動
相利共生の維持機構を理解することは、生物間の協力的な関係がどのように進化し維持されているのかを理解することにつながり、学術的な意義がある。協力的な関係とその崩壊はヒトの社会にも広くみられることから、ヒトの社会組織にも適応できる知見を提供しうる点で社会的意義がある。