研究課題/領域番号 |
18H02517
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
河野 礼子 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (30356266)
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研究分担者 |
菊池 泰弘 佐賀大学, 医学部, 講師 (70325596)
岡崎 健治 鳥取大学, 医学部, 助教 (10632937)
片桐 千亜紀 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (70804730)
加賀谷 美幸 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50623790)
高椋 浩史 九州大学, アジア埋蔵文化財研究センター, 学術研究者 (10759418)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 白保竿根田原洞穴遺跡 / 更新世人骨 / 旧石器時代 / 骨形態学 |
研究実績の概要 |
白保竿根田原洞穴遺跡出土人骨資料について以下の作業を進めた。まず全メンバーで遺跡現地を訪問し、研究対象である人骨資料についてその背景についての理解を深めた。またその際に人骨資料の収蔵元である沖縄県立埋蔵文化財センターを訪問し、研究計画の全体についての打ち合わせをおこなった。 人骨資料の全点について時間をかけて観察し、個体分けや性別・年齢構成などの確認作業を進めた。これには予定したよりも時間がかかったが、個体分けはおおよそ確定しつつある。またこの過程で病変のみられる1個体が特定できる可能性が示唆された。 白保4号については従前から継続していた研究プロジェクトの一環で頭骨のデジタル復元作業が完了し、形状についての分析結果を論文発表した。さらにデジタル復元結果をベースとして生前の顔貌の復元を試み、その成果について地元沖縄にて記者発表したのち、国立科学博物館や沖縄県立埋蔵文化財センターにおいて一般向けに公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プロジェクトに参加するメンバーのほとんど全員がこれまでに見たことのない規模の旧石器時代人骨を対象とすることから、研究成果をあげていくことはもちろんであるが、資料の貴重さに鑑みて十分慎重に研究作業を進めていく方針で研究を進めている。その結果、個体分けの確定に想定した以上の時間がかかっており、当初の研究計画に比すると少々進捗状況は遅れ気味であるが、着実に作業は進んでおり、さらに病変個体の存在が浮かび上がるなどの成果もあることから、全体としては問題ないものと認識している。 また2018年度に実施予定であった全身骨のCT撮影については、個体分け作業が長引いている影響などにより実施しなかった。これについては2019年度に実施する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度には個体分けを完了させ、計測学的分析や観察分析に本格的に移行することを予定している。これに際して比較のためのデータ取得も順次開始する。2019年度には同じ沖縄県の更新世人骨である港川人骨や、中国の田園洞人骨の観察・計測などを、所蔵元と調整の上で、実施していく計画である。白保人骨についてのデータと比較データを集積していき、2020年度以降に取りまとめていくことにより、白保人骨の特徴を明らかにしてゆき、順次論文発表などによって公表していく。また2018年度に実施できなかった全身骨のCT撮影を2019年度に実施し、全身のモデル構築も進める。
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