研究実績の概要 |
本研究では、健常な前成人期の男女を対象に、自己および他者評価課題に対する脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で計測し、幼少期に形成された内的ワーキングモデルの個体差や集団間の共通/差異について検討する。さらに幼少期の養育環境との関連性を検討し、自己/他者モデルに関する脳機能を発達・神経科学的に解明する。当該年度は、特に父親、母親に対する反応を調査することとし、fMRI実験を中心に以下の内容を実施した。 1.fMRI実験(1)対象者: 20歳代前半の健常な男女を対象にfMRI実験を行った。すべての対象者は、精神・神経疾患および意識消失を伴う頭部外傷の既往が無いことが確認され、インフォームド・コンセントが得られたものとした。(2)実験刺激:日本版Brief Core Schema Scale (JBCSS: Parker et al., 1979, 小川, 1991)を参照し、自己、一般他者、父親、母親とスキーマを組み合わせた文字表示と4段階評価を示した。(3)実験課題:対象とスキーマがどの程度あてはまると思うか4段階のボタン押し課題を行った。 2.質問紙(1)PBI日本語版 (parker et al., 1979; 小川, 1991):集計の結果、それぞれのカットオフ点から分類された養育スタイルは、母親はOptimal parenting、父親はNeglectful parentingであった。(2)日本版 JBCSS(Fowler et al., 2006; 内田ら, 2012) :自己・一般他者に加え、父親・母親に対する評価も行い、一元配置の分散分析よび多重比較検定を行った。 3.画像データの解析:SPM12を用いた。前処理の後、父親・母親についての基本的なコントラスト(父親/母親:肯定的vs.否定的)についての個人解析および集団解析を行った。
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