研究課題/領域番号 |
18H02519
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
則内 まどか 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員研究員 (20571897)
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研究分担者 |
菊池 吉晃 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員教授 (50134739)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | fMRI / 脳機能 / 養育環境 / 神経科学 / 内的ワーキングモデル |
研究実績の概要 |
本研究では、健常な前成人期の男女を対象に、自己および他者評価課題に対する脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で計測し、幼少期に形成された内的ワーキ ングモデルの個体差や集団間の共通/差異について検討する。さらに幼少期の養育環境との関連性を検討し、自己/他者モデルに関する脳機能を発達・神経科学 的に解明する。当該年度は、前年度に続き、父親と母親に対する反応に着目し、質問紙およびfMRIデータ解析について性差を中心に以下の内容を実施した。 1.fMRIデータの解析: 1)女性群:母親に対するポジティブ評価時と比較したネガティブ評価時に背外側前頭前野、背内側前頭前野/背側前帯状皮質、一次/二次視覚野の活動がみられた。一方で、ポジティブ評価時には有意な活動領域は示されなかった。父親に対するポジティブ評価時と比較したネガティブ評価時は、一次/二次視覚野で活動が示された。一方、ポジティブ評価時は、側頭頭頂接合部の活動が認められた。 2)男性群:母親および父親に対し、ポジティブ評価時と比較したネガティブ評価時に一次/二次視覚野の活動がみられた。一方で、ポジティブ評価時は、母親、父親いずれに対しても有意な活動領域は認められなかった。 2.個人特性の解析:JBCSSについて、女性群は、父親と母親に対するポジティブ・スキーマは、ネガティブ・スキーマに比べて有意に高かった(父親 p<0.05、母親 p<0.001)。男性群についても、父親と母親に対するポジティブ・スキーマは、父親および母親のネガティブ・スキーマに比べて有意に高かった(父親 p<0.001、母親 p<0.001)。さらに男性群では、母親に対するポジティブ・スキーマは父親に対するポジティブ・スキーマに比べて有意に高かった(p<0.05)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに得られたデータについての解析を進めた。また、当該年度も国内外の学術会議の参加および成果発表は難しい状況であったが、脳機能研究に留まらず、医学的、生物学的、心理学的など様々な学術領域で行われている先行研究をレビューし、本研究データの解析方法などについて、議論を重ねた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、幼少期の被養育環境と成人期の対人機能および自己評価に関する研究について、現在得られているデータを丁寧に解析することで集団および個体の特性を明らかにしていく。前年度は文献調査が中心となり、学術会議で最新の知見を得る機会を設定できなかったため、最終年度は積極的に関連研究の情報を収集し、ヒトの特性としての養育環境の影響について考察を深めたい。
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