Sept3欠損マウスを多階層的に精査し、以下の知見を得た。系統的行動解析では空間文脈弁別課題のみ低成績であった。AAVベクター定位注入による発現・枯渇実験により、その責任領域を同定した。ssTEM法による3D形態計測ではシナプス分布密度やスパイン体積は正常であったが、滑面小胞体含有スパインが少なかった。この異常は初代培養顆粒細胞で再現された。培養顆粒細胞に後期長期増強を誘発するとシナプス拡大後のER伸展が再現された。さらに、SEPT3欠乏はシナプス拡大には影響せずER伸展を阻害したことから、顆粒細胞スパインへのER侵入は神経活動依存的かつSEPT3依存的であると結論づけた。
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