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2019 年度 実績報告書

シナプス小胞膜タンパク質挙動の高時空間分解能解析

研究課題

研究課題/領域番号 18H02526
研究機関京都大学

研究代表者

平野 丈夫  京都大学, 理学研究科, 教授 (50181178)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード脳・神経 / シナプス / エキソサイトーシス / エンドサイトーシス / 蛍光ライブイメージング / 神経伝達物質
研究実績の概要

神経細胞間の情報伝達はシナプスを介して行われる。シナプス前部への活動電位到達により細胞質内のカルシウムイオン濃度が上昇し、それが引き金となってシナプス小胞がシナプス前部アクテイブゾーンの細胞膜に融合して、小胞内に蓄えられている神経伝達物質のエキソサイトーシスが起こる。本研究では、シナプス前部からの高速で持続的な神経伝達物質放出を可能にしているシナプス小胞のエキソサイトーシスと小胞膜タンパク質のエンドサイトーシスによる細胞内への回収過程を、申請者らが開発してきた蛍光ライブイメージング手法で研究している。2019年度までに、一シナプス小胞のエキソサイトーシスを検出する方法を確立し、エキソサイトーシスにより細胞膜へ移行した小胞膜タンパク質が細胞膜上で拡散により分散してから回収されることを、シナプス小胞膜タンパク質の一つであるシナプトフィシンにpH依存性蛍光タンパク質SEPを融合した分子を用いて明らかにした。また、エキソサイトーシスはアクテイブゾーン内の特定の場所で起こることも示した。その後、細胞外液の急速交換法を用いることで細胞外液のpHを100~200ミリ秒で変化させる手法を用いて、SEP融合シナプトフィシンのエンドサイトーシスを検出する方法を確立した。そして、シナプス前部の高頻度刺激後数秒以内に、エンドサイトーシスがアクテイブゾーン近傍で起こることをライブイメージング実験で記録することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

シナプス前部で起こるエンドサイトーシスのライブイメージングに成功した。これは本研究の主要な目的である。

今後の研究の推進方策

これまでの研究で、シナプス前部で起こるシナプス小胞膜タンパク質のエンドサイトーシスの検出に成功したので、今後はそのエンドサイトーシスの特徴を調べていく。具体的には、どの部位でいつエンドサイトーシスが起こるか、またそのエンドサイトーシスはクラスリンに依存したものか否か等を検討する。また、エクソサイトーシス後の様々なタイミングで異なる特性のエンドサイトーシスが起こるか否かも検討する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Amyloid-β oligomers suppress subunit-specific glutamate receptor increase during LTP2019

    • 著者名/発表者名
      Tanaka H, Sakaguchi D, Hirano T.
    • 雑誌名

      Alzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions

      巻: 5 ページ: 797-808

    • DOI

      10.1016/j.trci.2019.10.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] LTDとrebound potentiationのOKR制御における役割2019

    • 著者名/発表者名
      井下拓真、平野丈夫
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience

      巻: 37 ページ: 940-942

  • [学会発表] 海馬神経細胞におけるシナプス入力統合の膜電位イメージングによる時空間解析2020

    • 著者名/発表者名
      森田雅登、平野丈夫、川口真也
    • 学会等名
      第97回日本生理学会大会
  • [学会発表] Effects of β-adrenergic receptor on long-term depression at parallel fiber to Purkinje neuron synapses in the cerebellar flocculus2019

    • 著者名/発表者名
      Inoshita T, Hirano T.
    • 学会等名
      Neuroscience 2019, Chicago USA
    • 国際学会
  • [学会発表] Different effects of noradrenaline on synaptic transmission and long-term depression at parallel fiber to Purkinje neuron synapses among cerebellar areas2019

    • 著者名/発表者名
      Inoshita T, Hirano T.
    • 学会等名
      第42回 日本神経科学大会
  • [図書] 何のための脳? AI時代の行動選択と神経科学2019

    • 著者名/発表者名
      平野丈夫
    • 総ページ数
      145
    • 出版者
      京都大学学術出版会
    • ISBN
      978-4-8140-0230-6
  • [備考] 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻生物物理学教室神経生物学分科

    • URL

      http://www.nb.biophys.kyoto-u.ac.jp/

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公開日: 2021-01-27  

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