研究課題/領域番号 |
18H02529
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
福田 孝一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (50253414)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | gap junction / パルブアルブミン / 歯状回 / 体性感覚皮質 / GABA / feedforward / feedback |
研究実績の概要 |
2020年度は前年度までの研究を発展すべく、海馬記憶回路の入り口である歯状回と、大脳皮質体性感覚野の代表であるバレル野において研究を進めた。歯状回では、既に顆粒細胞層/hilus境界部に広がる二次元的樹状突起ネットワークにおけるGap junction連結を免疫組織化学的に捉えているが、correlated LM-EMにより、確かにgap junctionが存在していることを電子顕微鏡的に確かめた。またgap junctionにより連結しているhilusのPVニューロンの樹状突起には、顆粒細胞の軸索終末が作る大型のmossy fiber terminalが多数シナプス結合を作っていることも見出し、feedforward回路におけるgap juncitonネットワークの組み込みを実証した。さらに顆粒細胞層への順行性トレーサーの注入実験により、mossy fiberがPVニューロン樹状突起ネットワークに三次元的にどのような入力構造をとるかという研究に着手した。またVGluT2により客観的な層区分を行なった分子層におけるPVニューロン樹状突起への入力構造の解析を継続している。他方バレル野では、これまであまり研究対象とならなかったミニバレル内のPVニューロンが、よく知られたマクロバレルに多く存在するtype 1(樹状突起が自己のバレル内に限局する)を欠如すること、さらにミニバレルPV ニューロン間でもgap junctionによる樹状突起ネットワークが存在することを明らかにした。また記憶回路の出口である海馬台とPVニューロンが樹状突起ネットを形成する基底核についても研究を展開した。2019年度からロシアSouthern Federal UniversityのKirichenko博士と、バレル皮質におけるgap juncitonの共同研究を開始し、2020年度も継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大は、医学部における学生教育に大きな影響をもたらしたが、特に負担の大きい肉眼解剖学実習と脳実習を含む、解剖学・神経解剖学教育を一手に担っている立場として、コロナ禍においても充実した教育を実行するために多大な努力を、年間を通じて行なった。そのため研究に向けられるエフォート率は大きく低減せざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Gap junctionネットワークを歯状回と体性感覚皮質の神経回路に組み込むべく、定性的・定量的解析をさらに強力に遂行する。
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