研究課題
2021年度はこれまでの研究をさらに発展させ、まとまった成果を得た。海馬の記憶形成回路の入力部に相当する歯状回と、大脳皮質一次体性感覚皮質バレル野において、Gap junction ネットワークの構造を解明する研究を進めた。歯状回では、parvalbumin(PV)陽性GABAニューロンが顆粒細胞層/hilus境界部に大きく広がる二次元的樹状突起ネットワークを形成し、そこにGap junctionによる結合があることを中心課題として追究して来たが、樹状突起間に形成されているgap junctionのサイズを電子顕微鏡で計測した。コネクソンが円板状に集積するgap junctionのサイズから、そのgap junctionのコンダクタンスを計算により推定することができ、神経回路におけるgap junction連結の電気生理学的意義の理解に資する結果である。一方feedforward回路においては、歯状回分子層に伸びるPVニューロンの樹状突起におけるgap junction連結が意義を持つが、細胞体からの距離の計測により、100ミクロンより遠い位置にあるものがほとんどであった。すなわち分子層への入力を受ける遠位樹状突起にあり、feedforward回路においてPVニューロンが受ける入力の同期性に依存する活動を歯状回全体に及ぼす構造が浮かび上がった。これは顆粒細胞層/hilus境界部においては近位樹状突起にgap junctionがあることと異なる意義、すなわちPVニューロンからの出力の同期性を促進する構造と対照的である。以上から歯状回PVニューロンが形成するgap junctionネットワークの神経回路における意義が実証され、論文作成の段階にある。大脳皮質バレル野におけるgap junctionネットワークについても定量データを追加し、論文投稿の直前の段階にある。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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解剖学雑誌
巻: 97 ページ: 17-20
Frontiers ni Neurosciences
巻: 15 ページ: A607908
10.3389/fnins.2021.607908