研究課題/領域番号 |
18H02534
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大石 陽 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (70554004)
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研究分担者 |
長谷川 恵美 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (40765955)
高田 陽子 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (60435740)
シェラス ヨアン 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (60544319)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠 / VTA / VMP / ドーパミン |
研究実績の概要 |
動物の睡眠覚醒は様々な要因に制御されるが、情動的要因による睡眠制御の脳内メカニズムはほぼ不明である。我々はごく最近、モチベーション・報酬に関与する脳部位・腹側被蓋野(VTA)および側坐核(NAc)が、睡眠制御に重要であることを見出した。しかしながら睡眠調節に関してこれらの報酬系システムを取り巻く神経メカニズムには不明な点が多い。腹側中脳および腹側淡蒼球の睡眠調節における機能を解析し、報酬系による睡眠制御メカニズム全容の解明を目指すのが本研究の目的である。 今年度は、腹側被蓋野を調節しうる脳領域として腹側内側中脳橋(ventral medial midbrain/pons area; VMP)に注目し、その睡眠覚醒における役割を解析した。アデノ随伴ウイルスベクターおよびジフテリア毒素フラグメントAを用いて、マウスVMPの細胞を非選択的に欠損させたところ、睡眠量の顕著な減少が見出された。そこで、VMPの主な神経集団の一つであるドーパミン神経を選択的に欠損させたが、睡眠覚醒に影響は見られなかった。次に、GABA作動性神経を選択的に欠損させたところ、非選択的の場合と同等以上に睡眠が減少した。この不眠状態は過去の報告において最も重篤なレベルであり、このGABA神経が睡眠量の維持に極めて重要であることを示している。また、ドーパミン受容体拮抗薬をこのマウスに投与したところ、大きく睡眠量が増加したため、ドーパミン系の関与が示唆された。以上の結果により、VMPのGABA作動性神経が非常に強力に睡眠を制御する神経であることを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに研究が進み、原著論文も報告できたため。
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今後の研究の推進方策 |
光遺伝学、化学遺伝学、細胞種特異的神経トレーシング、in vivo神経活性測定などを用いて、VMPの睡眠制御における機能をさらに詳細に解析する。
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