研究課題
神経変性疾患では、細胞の変性・脱落が特定の神経細胞種においてのみ生じることを特徴とするが、変性する細胞種がどのように限定されるのかについての機序は不明である。研究代表者らはこれまでの研究において、培養環境に付与されるストレス負荷に対して、個々の細胞が示す脆弱性の程度はそれぞれ異なることを見出した。本課題では、「特定の神経細胞が生来有する脆弱性」と「病態下における脳内環境の破綻程度」の組合せが、病型ごとに細胞特異的な変性をもたらす要因になりうるという仮説を立て、これを検証する。神経変性疾患患者の体細胞から作製したiPS細胞を活用し、「当該疾患で変性が生じる神経細胞」と「当該疾患では一次変性しない神経細胞」に分化誘導し、培養環境を脳内環境に見立て、表現型を解析する。遺伝性脊髄小脳変性症のうち、小脳細胞に限局して変性が認められる「純粋小脳型」として6型と31型、小脳領域以外にも変性がおよぶ「多領域型」として3型の患者それぞれに由来するiPS細胞から、小脳プルキンエ細胞と大脳神経細胞を分化誘導した。形態学的解析および遺伝子発現解析から、それぞれの細胞の脆弱性は培地へのストレス負荷の種類によってその程度が異なることを見出した。解析結果から脆弱性の強弱ついて、病型、ストレス負荷、細胞種ごとに分類し、病態と変性の相関・多様性・共通性を検出した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Molecular and Cellular Neuroscience
巻: 107 ページ: 103530~103530
10.1016/j.mcn.2020.103530
Stem Cell Research
巻: 45 ページ: 101787~101787
10.1016/j.scr.2020.101787
巻: 45 ページ: 101782~101782
10.1016/j.scr.2020.101782