研究課題
これまでの研究により、野生型マウスの海馬歯状回において、記憶と想起の両方に関与するニューロン(記憶痕跡細胞)を同定してきた。そして、野生型マウスの記憶想起時には、記憶痕跡細胞が有意に増加したが、TSCマウスではその増加は認められなかった。しかし、Rheb阻害薬をTSCマウスに投与すると、TSCマウスの記憶障害が改善し、痕跡細胞も増加するようになった。また、Rheb阻害薬投与により、TSCマウスの樹状突起スパイン形態が変化し、野生型に近づくことも見出した。さらに、野生型マウスの記憶痕跡細胞をチャネルロドプシン(ChR2)でラベルし、光を当てることによって異環境でもすくみ反応(フリーズ)が生じることを確認した。そこで、最終年度はTSCマウスを用いて同様の実験を行い、異環境でフリーズが生じるか、もし起きなければ、Rheb阻害薬を事前に経口投与し、すくみ反応が生じるかどうかを検討した。TSCマウスの記憶痕跡細胞にChR2を発現させ、光照射によって異環境ですくみ反応が増加するかどうかを試したが、野生型マウスと異なり、すくみ反応に有意な変化はなかった。そこで、TSCマウスへRheb阻害薬を事前に経口投与し、同様の実験を行ったたところ、異環境で光照射によるTSCマウスのフリーズが増加することが確認できた。以上の結果から、TSCマウスでは、記憶痕跡細胞とその入出力細胞間の情報伝達が障害されており、Rheb阻害薬投与によりその障害が改善し、記憶が回復すると考えられた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.igakuken.or.jp/project/detail/development.html