研究課題
RP58/ZBTB18ハプロ不全による知的障害の病理機序が、興奮性シナプスの障害である可能性が示唆された。今回、RP58/ZBTB18ハプロ不全のモデル動物として、RP58ヘテロ欠損マウスを作製、解析し、次の4点を明らかにした。(1)本モデルマウスの脳の組織解析では、大脳皮質の層形成には有意な異常は見られないが、脳梁の形成不全を示した。これは、RP58/ZBTB18ハプロ不全患者でも報告されている異常である。(2)本モデルマウスは運動学習、ワーキングメモリー、認知記憶の柔軟性が障害されていた。これらの表現型は知的障害の症状と類似しており、このマウスはRP58変異を原因とした知的障害のモデルマウスとして妥当であると考えられた。(3)上記マウスの大脳皮質ではグルタミン酸受容体の発現減少が見出された。また、海馬CA1ニューロンでのNMDA受容体の応答に異常があり、頻回刺激を繰り返した場合のシナプス長期増強の飽和レベルが低下していた。これらのことは、記憶や学習機能に重要な役割を果たすグルタミン酸受容体シナプス応答に異常が生じていることを示している。(4)さらに海馬CA1錐体細胞のスパインの形態解析により、スパインの形態異常が発見された。これらの成果は、RP58/ZBTB18ハプロ不全の背景に興奮性シナプスの障害が存在することを示唆しており、RP58/ZBTB18ハプロ不全により生じる知的障害の予防、治療法の開発に役立つことが期待される。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件)
iScience,
巻: 26 ページ: 105830
10.1016/j.isci.2022.105830
Cerebellum
巻: 21 ページ: 905-919
10.1007/s12311-021-01334-8
Science Advances, 7(46):eabl6077
巻: 7 ページ: eabl6077
10.1126/sciadv.abl6077
Experimental Neurology
巻: 337 ページ: 113552
10.1016/j.expneurol.2020.113552
Br J Pharmacol.
巻: 178 ページ: 813-826
10.1111/bph.15265