研究課題
動物の発達期に脳の神経回路が正確に形成されることで、動物が環境を知覚する、行動する、知性を持つことなどの脳機能が備わる。脳機能の基になる神経回路がどのように形成されるかその原理を解明することは神経科学分野で重要なテーマであり、発達障害の病態解明・治療法開発ならびに人工知能の開発に多大に貢献する。生まれたばかりの動物の神経回路は未熟であり、動物の機能もほとんど備わっていない。生後発達期に脳の神経回路は精緻化され、脳機能が発現する。この細胞レベルでの変化として、“シナプス刈り込み”と呼ばれる現象がある。シナプス刈り込みは未熟な神経回路が機能的な神経回路に成熟するために必須な過程である。さらに発達期や成熟後のシナプス刈り込みの破綻は自閉スペクトラム症、統合失調症、認知症などの様々な疾患に関わる可能性が報告されており、脳機能におけるシナプス刈り込みの重要性が示唆される。本研究では、開発したスクリーニング系を用いてシナプス刈り込みを制御する未同定の逆行性分子を同定し、神経活動がどのようにそれらの分子を制御するかを明らかにすることを目指した。さらに、神経活動依存性と非依存性の機構がどのように協調してシナプスを選択的に強化・除去するかを解明することを目指した。本研究期間の間に、新規の逆行性分子を複数同定した。また神経細胞同士の相互作用だけでなく、グリア細胞に存在しシナプス刈り込みを制御するグリア型の逆行性分子も同定した。さらに、シナプス前部の細胞の活動を操作することでシナプス刈り込みの神経活動依存的な過程と非依存的な過程を明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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