研究課題/領域番号 |
18H02543
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松尾 直毅 九州大学, 理学研究院, 教授 (10508956)
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研究分担者 |
寺前 順之介 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (50384722)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 記憶 / マウス |
研究実績の概要 |
最近の研究により、学習時に活動した脳内の一部の神経細胞集団(神経アンサンブル)の活動が記憶の実体であることが実証されつつある。このいわゆる「記憶痕跡細胞」の活動操作による記憶の操作実験が脚光を浴びる一方で、肝心の記憶痕跡細胞がどのような仕組みで選ばれ、また周囲の他の細胞と較べて何が異なるのかという「記憶痕跡細胞の基本的な性質」に関してはほとんど理解が進んでいない。 そこで本研究では、独自の遺伝子改変マウスを軸に、in vivo脳内活動イメージング、光活動操作、行動解析、数理解析を組み合わせた融合的研究により、「記憶痕跡(候補)細胞」と「周囲のそれ以外の細胞」をそれぞれ区別した解析を行い、活動レベルでの特性を明らかにする。 本年度は、マウスの文脈依存的恐怖条件付け学習課題を用いて、自由行動下のマウス背側海馬CA1領域における数百個の神経細胞のカルシウム活動動態の解析を行った。解析のために、主に主成分分析、機械学習などの数理的手法を用いて、文脈依存的恐怖学習に伴う活動動態の一端を明らかにすることができた。特に、新規環境への導入時、条件付け学習時、記憶消去訓練時、再学習時における活動動態の特徴をそれぞれ捉えることができた。 さらに、昨年度に確立した、in vivoカルシウムイメージングのデータを取得すると同時に、文脈依存的恐怖条件付け学習時に活動した記憶痕跡細胞を可視化標識する遺伝学的システムを活用することにより、「記憶痕跡細胞集団」と「周囲の他の細胞集団」をそれぞれ区別したカルシウム活動のダイナミクスの計測と解析を行った。特に、学習、記憶消去、再学習時における数理解析を共同研究者と共に行い、記憶痕跡細胞に特有の活動状態を見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた膨大な量のデータの解析と原著論文の作製に力を注ぐ。
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