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大脳皮質の機能は生後の経験や学習に基づいて柔軟に構築・再編される。マウス視覚系は発達期可塑性解析の良いモデルである。本年度はマウス一次視覚野および二次視覚野のLM領域から視覚反応を計測し、視覚反応形成の経験依存性を調べた。開眼前から両眼遮蔽を行うことで形態視を遮断した状態で飼育すると、一次視覚野細胞の視覚反応強度は変化しないが、多くの細胞が低空間周波数の刺激にのみ反応し、高空間周波数刺激に反応する細胞が著しく減少した。また、一次視覚野ニューロンの最適方位の分布については視覚遮断の影響はみられなかった。LM領域においては視覚応答を示す細胞が著しく減少した。この結果は発達期の視覚遮断の影響が一次視覚野とLM領域で異なることを示す。発達期の視覚遮断により、一次視覚野からLM領域への神経結合の形成が抑制される結果を形態学的解析により得ているので、一次視覚野からLMへの神経結合の形成やその回路により視覚信号を高次視覚野に確実に伝えるためには、生後の正常な視覚経験に依存した回路構築が必要なことが示唆される。
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