低分子創薬の主流は、疾患関連タンパク質のポケットに結合する阻害薬の探索であり、その機能制御が分子基盤である。しかし、この「鍵と鍵穴創薬」が通用しない疾患関連タンパク質については、創薬成功例が少ないのが実情である。このことから、新しい低分子創薬技術の開発は、チャレンジングであるが重要な学術的課題である。今回、タンパク質分解薬PROTACが複数の神経変性タンパク質を分解できることを見出し、また脳移行性を示すPROTAC類縁体も創製し、神経変性疾患に対して、タンパク質分解薬が新しい創薬手法になり得ることを提案した。また、神経変性タンパク質の化学修飾に成功し、新たな創薬手法への一歩を踏み出した。
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