研究課題/領域番号 |
18H02552
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大和田 智彦 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20177025)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アミノ酸 / プロリン / ヘリックス / βストランド |
研究実績の概要 |
β-プロリンを二環性構造に組み込んだ二環性βープロリンのホモオリゴマーは生体が持たない構造特性を有するヘリックス構造の誘起することが判明した。αーアミノ酸に結合することで、二環性βープロリンとαーアミノ酸のヘテロオリゴマーが形成できる。ペプチドに挿入した二環性βープロリンは天然型とは異な るαアミノ酸の立体配座特性を誘起すると期待できる。一方、一般に3級アミドはシスートランス平衡の混合物を与え,βプロリンも1:1の混合物を与える。本研究者は本二環性βプロリンの橋頭位に置換基を導入するとシス-トランスーアミド構造の動的平衡の固定が出来る事を解明している。そのホモオリゴマーが、生体分子にない構造特性をもったヘリックス構造を作り出すことはこの発見の応用である。本年度α-アミノ酸と二環性βープロリンのヘテロオリゴマーが、N末端に結合したαーアミノ酸にβーストランド構造を誘起することを見出した。通常βーストランド構造は分子間(ストランド間)水素結合によって安定化して存在するが、本研究結果は、分子間、分子内水素結合によらずβストランド構造が安定化される事を示した。この構造の誘起の要因を現在解明中であるが、二環性βープロリンの橋頭位に置換基を導入し、三級アミドのシスートランス平衡がシスに傾いていることが最大の要因である。その他の成果として、二環性βープロリンのホモオリゴマーが形成する非天然ヘリックスをタンパク質ータンパク質相互作用への干渉に応用しようとしている。タンパク質ータンパク質相互作用のいくつかはタンパク質のもつαーヘリックス間の相互作用であることが知られている。この知見を元に本研究課題は設定されているが、発表する成果には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度報告した研究成果は論文発表することができ概ね順調である。未発表の成果も複数あるため、今後データの先鋭化に勤め論文化を急ぐ。
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今後の研究の推進方策 |
本二環性βプロリンとαーアミノ酸から成るより長いオリゴマーの合成が必要である。長鎖化しても規則構造誘起能がある事の実験的な検証は重要であり、その方向に研究を展開したい。ただし現在の予算規模では、試薬台を賄えないので今後のご支援が益々重要である。
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