研究課題
本研究課題は生体内リガンドをミミックする分子を構築するための構造化の有機化学の確立とメディシナルケミストリーへの応用を目的とする。構造有機化学の基礎研究に加えて実際の生物活性物質の取得によって本研究の仮説を評価する。本研究の目的は以下の2つの問いについて有機化学的な見解を示すことにある。(1)タンパク質-タンパク質相互作用(PPI)には表面にあるヘリックス間の相互作用に由来するものがあるが(例えば、MDM2-P53タンパク質相互作用など)、天然のヘリックス分子を模倣した非天然ヘリックス構造分子が、ピッチや直径という構造的なパラメーターが異なる場合でもPPIを阻害することが可能か、という問いについてである。また(2)回転しやすいアリル位炭素-炭素一重 結合に由来する不飽和長鎖脂肪酸の多数のコンフォメーションを収集し分類し、特定構造を再現する代替構造分子設計法を確立し、脂肪酸の生物活性コンフォメーションを解明することは可能か。と言う問いである。(1)2020年度は、特異なβー二環性型プロリン分子をかねてから研究しているが、アミド結合を介してユニット分子を連結する際、そのホモオリゴマーでは年天然には存在しない特異な構造パラメーターをもつヘリックス分子が出来るのに対して、αーアミノ酸とのヘテロオリゴマーにすると、分子間水素結合がなくてもβストランド構造を取ることを明らかにした。また非天然ヘリックのC末端、N末端を最適化して、MDM2-P53タンパク質相互作用を阻害する分子の最適化を行い現在論文を作成中である。
3: やや遅れている
研究はコロナ蔓延のため大学での研究活動が制限され、共同研究が大幅に遅れた。特にタンパク質タンパク質相互作用系のMDM2-P53タンパク質相互作用を阻害する分子の最適化は大きな影響を受けたが論文化の目処がたった。
最終年度になり、研究成果のまとめとともに、脂肪酸分子の構造固定化について、構造ダイバーシティの創出法を解決したい。現在data baseの活用とソフトウエアの活用を考えている。
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