研究課題/領域番号 |
18H02555
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
大石 真也 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80381739)
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研究分担者 |
近藤 恭光 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (80333342)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 天然物 / 鏡像型タンパク質 / スクリーニング / 医薬品探索 / 抗ウイルス薬 / 抗菌薬 |
研究実績の概要 |
2018年度に引き続き、天然物・天然資源の鏡像体化合物群からの感染症治療薬の探索の実現を目指して、病原微生物の生活環に関与するタンパク質の化学合成と機能評価を行った。 (1)細菌の細胞壁の構成成分の生合成酵素の化学合成法の確立と機能評価:2018年度までの検討により化学合成プロセスを確立した生合成酵素について、フォールディング条件を精査し、界面活性剤の利用と除去などのプロセスを経て、活性型タンパク質を取得する条件を確立した。また、得られた鏡像型タンパク質を使うことで基質の変換が進行することを確認し、所望の酵素機能を有することを確認した。 (2)ウイルスの表面タンパク質の化学合成法の確立と機能評価:2018年度に引き続き、パラミクソウイルスのエンベロープタンパク質由来のペプチドについて、タンパク質間相互作用に必要な部位の特定に向けた構造活性相関を展開した。これにより相互作用に必要とされるペプチドの最小配列を明らかにするとともに、X線結晶構造解析によりその相互作用様式を解明した。また、この相互作用を検出するための複数の手法を確立した。 (3)免疫系の調節に関与する膜タンパク質の合成:2018年度までに小スケールでの合成プロセスを確立した膜タンパク質の細胞外ドメインの合成プロセスの改良を試みた。溶解性タグの導入や合成経路の見直しなどにより複数のセグメントの収量を改善するとともに、NCL後の生成物の精製プロセスの精査により各工程での回収率を改善した。これにより必要量の化学合成タンパク質を取得し、活性型タンパク質の取得に向けたフォールディング条件の検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染症治療薬の標的となる複数のタンパク質の機能評価を進め、生物活性・機能を検出するプロセスを確立することができた。また、抗ウイルス剤の創製につながるタンパク質間相互作用に関する新たな知見を得ることができた。これらのことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、感染症治療薬の候補化合物を鏡像スクリーニングにより探索するための鏡像タンパク質の化学合成を進める。適切な位置に標識を導入したタンパク質の量的供給を可能にするための合成・精製プロセスの見直しも並行して実施する。十分量が取得できた活性型タンパク質については、スクリーニング研究へと展開する。
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