立体配座が固定化されたトリプチセンを土台として、そこから支柱となるユニットを結合させ有機立体構造の精密構築を目的とした。イノラートとベンザインとのトリプル環化付加によるトリプチセン合成法を見出し、さらにアントラノキシドにベンザインを反応させることでも9-ヒドロキシトリプチセンが高収率で得られた。3-シリルベンザインとイノラートの反応で1、8,13-トリシリルトリプチセンが選択的に得られ、これは容易に1,8,13-トリブロモトリプチセンに変換できた。これに対して各種金属触媒反応を施して支柱ユニットを高収率で導入した。この手法でトリプチセンを含むかご型分子や大環状分子の構築に成功した。
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