研究課題/領域番号 |
18H02558
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々木 茂貴 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10170672)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 核酸化学 / RNA / 化学修飾 / 翻訳 / ペプチド / 変異 |
研究実績の概要 |
我々は、RNAとハイブリッド錯体を形成することによって官能基転移を誘起し、部位特異的および塩基特異的に化学修飾する化学反応性人工核酸の開発に成功した。本研究では、本研究では、放射性標識化合物を含め多様な官能基によるRNA修飾を検討する。非細胞翻訳系でのコドン認識への効果をフィードバックしながら、導入する官能基の構造と導入位置を決定する。さらに、新規の転移反応として、リボース-2‘-水酸基への転移反応を検討する。すでにヒスタミンを活性化剤とするヌクレオシド誘導体を用いて部位選択的な水酸基アセチル化に成功した。本研究では種々の活性化官能基を検討し、より高効率の人工核酸を開発する。もう一つの試みとして、N-アシル-7-ニトロインドリン体を用いて光活性化アシル化反応を検討する。 2018年度は、mRNAの部位特異的な化学修飾の翻訳に与える効果を調べるため、短鎖ペプチドをコードする合成mRNAを用いて非細胞系翻訳システムによるペプチド合成系を用いた。この系では、合成されるペプチドに2種類の抗体認識配列を含んでおり、合成されるペプチドの単離が容易であり、質量分析による配列解析が容易である。人工核酸とウリジンをクロスリンクさせた場合、2本鎖末端で合成が停止したペプチドが産生することが確認された。一方、シトシンアミノ基のアルキル化修飾では翻訳反応では全長のペプチドが産生され、化学修飾の影響は見られなかった。 RNAリボース2‘位水酸基アシル化を目的に6-アミノプリン塩基の2位に触媒基を導入した人工核酸を検討した。その結果、アシル化は人工塩基の相補位置から5’側のリボース部位を選択的にアシル化することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成mRNAを用いた非細胞系翻訳システムによるペプチド合成ではクロスリンクにより用いたアンチセンスオリゴ核酸の末端で翻訳が停止することを明らかにした。また部位特異的なmRNA化学修飾反応を定量的に検出することに成功し、この構造は翻訳に影響を与えないことが明らかになった。RNAリボース2'位水酸基のアセチル化を加速する人工核酸の開発に成功し、光アシル転位反応を誘起する分子の合成に成功した。このように、本年度は当初の計画が概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
官能基転移反応で合成mRNAを部位特異的に化学修飾したあと、引き続きクリック反応で種々の分子を導入し、非細胞系翻訳システムによるペプチド合成に対するmRNA化学修飾の効果を検討する。この目的のためにクリック反応に適用可能な転移基の開発と、導入する分子のアジド誘導体を合成する。RNAリボース2‘位水酸基アシル化の更なる効率化のために、6-アミノプリン塩基の2位に導入する触媒基を新たに設計する。また、新しいアシル化剤の開発を検討する。
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