研究課題
IDO/TDO二重阻害に係わる構造活性相関の把握と活性増強を目的として、これまでに構造的に多様性のある複数のタイプの阻害化合物群を見出してきた。本年度はこれまでに合成した誘導体の構造活性相関情報とモデリングソフトMOEを活用して、インシリコデザインによる構造最適化研究を行った。チオウレア基の片方の窒素原子に水酸基を導入した化合物、およびCys残基との不可逆的な結合を意図してフェニル環へのアクリロイル基を導入した化合物などを合成し新たな構造活性相関を得た。さらにアミドタイプ誘導体を用いて化合物とヘム鉄の相互作用をより高精度で解析する目的で、MCPB.pyを用いたMD解析を行った。その結果、MOEによるドッキングではIDOに対する結合自由エネルギーに大きな違いが確認できなかった誘導体においても、酵素アッセイ結果を支持するドッキングポーズを得ることが出来た。よってMOEによるドッキング解析だけでなく、MD計算を活用することにより更に精密なドラッグデザインへと繋がることが期待される。また酵素反応速度論解析から、二重阻害活性を有するチオウレア誘導体の阻害様式が、TDOに対して基質競合的阻害を示したが、IDO1に対しては異なる様式を示した。よって両酵素に対する作用様式が異なることも明らかとなった。CT26移植マウスモデルにおける薬効評価については、腫瘍移植後の腫瘍内への免疫細胞の浸潤を指標に投与タイミングを検討した。CD45陽性細胞は腫瘍移植後一定期間で最大ピークとなり、その後徐々に低下した。経口投与可能なトリアジンタイプ誘導体を用いた評価の結果、最大ピーク前に投与することで有意な抗腫瘍効果を示したが、その効果はT細胞の除去によって完全に失われた。よって本化合物の薬効にはT細胞の腫瘍内浸潤が重要であり、in vivoにおいて免疫抑制解除薬としての作用を支持する結果を得ることができた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Heterocycles
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https://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/tansaku/